しゅでん日記!―支線― 第8話「生徒会長ってどこの世界も大帝うざい」 【7月】

今日からまた一週間が始まる。鬱だ、鬱すぎる。
別に学校があるから鬱なわけではない。
じゃあなぜ鬱なのか?それは俺の家に電車人間が現れ、流れでこの電車人間ともに世界征服を
阻止するため協力することになった。
そのうえ、俺の家に勝手に住み着いている……。プロローグでは住みつく話には特になってなかった
はずなのに……。

「ちっ、住みつかないとも言った覚えはない。」
「黙らんしゃい!!今俺がモノローグで語ってんでしょうが!!」
「ちっ、あっそう、そういうこと言うならもう知らないから。」
そういうと、電車人間は洗面所に向かった。そして、ブレーカーの下に立った。
「じゃ、壊すから。」
「壊すじゃねぇよ!!せっかく真夜中に業者に治してもらったんだから!!」
「ちっ、また呼べばいいでしょ。」
「呼ぶのは簡単だが、支払いは簡単じゃねぇんだよ!!もう家計は火の車!!」
「ちっ、だいたい、少し電気を充電しようとしただけで停電するだなんて。」
「契約以上に使用するからだろうが!!一般家庭がら電車を充電するだけの電力は供給
できねぇんだよ!!」
「ちっ、今回ブレーカーが壊れたのは私をいらだたせたあんたに過失がある。よって私に責任はない。
だからごちゃごちゃ言わないで。」
「なにが責任ないだコラっ!!お前が停電した時に普通にスイッチ操作すればいいだけのところを
変に電撃くらわせて壊したんだろうが!!」
「ちっ、うっるさいわねぇ、じゃああんたは私がどうすれば気が済むの。」
「んなの決まってらぁ!!金と謝罪と即時退去!!」
「ちっ、なにそれ、どんなラノベよ。」
「知るか!!」

「じゃあ俺、学校に行ってくるから。いいか?絶対に大人しくしていろよ?特に、電気製品とか
壊すんじゃねぇよ?」
「ちっ、破壊と創造は表裏一体。」
「壊してるだけだろうが!!こっちが舌打ちしたくなるんだよ!ちっちっちっちっちっ!!」
「ちっ、ブレーカーなら直ってるでしょ。」
「だから修理業者が直したんだろうが!」
「ちっ、わかった。だったら私が修理業になる、300円払って。」
「課金制!?」

「じゃあ俺、時間ねぇからもうホントに学校行ってくるからな!!大人しくしてろよ!付いても来るなよ!
家で大人しくしろよ!じゃあな!」
そう言い放ち、俺は家を出て学校へ向かった。しかし、この小説を呼んでる皆はもう気付いていると
思うが、この少女、俺の後ろに付いて、“来てます”

「ハンドパワー?」
「なに俺の心を読んでやがんだよ!!お前は琴○さんか!」
「ちっ、誰それ。私は常盤鉄よ。」
「改めて言われなくても知って……あっ!」
俺は、この少女の名前を聞いていなかったことに気がつかなかった。そして、俺が名乗ることも
していなかった。
しかたねぇ、俺も名乗るか。
……いや、待てよ、このタイミングで名乗るのはどうなんだ?
確かに向こうは自己紹介したが、、これはいわゆるボケであって、これにまともに自己紹介返しを
したらボケにボケを重ねた、
そう、チャーハンおかずに白米を食べるようなもんじゃねぇの?これ?
あ、いや、いまのもんじゃっていうのは月島じゃなくて物じゃっていう意味だから、ここ重要だから、
テストに出るから。
……って!おれモノローグのなかで十分ボケてるじゃねぇか!ってだれがボケだこのボケがァァァァ!
「ちっ、誰がボケだって……?」
「いやいやいやいや!お前にボケって言ったんじゃなくて、俺は俺に、」
「ちっ、なんて言い訳がましい、私の電撃くらって、100回死になさい!」
そう言って、常盤はポケットから白手袋を取りだし、それを手に着けて指パッチンをした。
すると、指パッチンをした手の伸ばした先に向かい電撃が走った。
その電撃は俺の顔すれすれを通り過ぎ、公園まで達した。
「お、おま、お前はいきなりなにすんじゃァァァァァ!!当たったらどうすんだ!!
っていうかその手袋なに!なんで錬成陣みたいなのが描かれてるんだよ!!お前はどこの大佐だ!!」
「ちっ、ただの発電布よ。」
「ただのって、めちゃくちゃパクってるじゃねぇか!!水に濡れて無能になれ!このパクリ魔が!!」
「ちっ(怒)」
そしてまた、指パッチンの音と同時に電撃が走った。今度は俺に直撃した。
「ちっ、当たったか。」
「ちってなんだよ!俺が言いてぇんだよ!ちっちっちっちっちっ!!」
「ちっ、くたばらないのね。」
「ギャグキャラは死なねぇっつうセオリーがあるんだよ!昔っから!残念だったな!!この電車女!!」
「ちっ(怒)」
三度、指パッチンの音と同時に電撃が走った。再び俺に……。
「そんなとこで焦げてないで、早く学校に行った方がいいんじゃないの。」
「焦がしたお前が言うなやァァァ!!」

そして、俺は徒歩で自宅の最寄り駅に到着し、電車に乗ろうと…電車に……電車に…………。
って!!俺鉄道アレルギーだったじゃねぇかァァァァ!!
常盤:「自分の設定を忘れるなんて、あんた馬鹿なの?それでも主人公なの?」
今回ばかりはこいつが正論だ。言い方はムカつくが反論はできねぇ。……いや、設定とか言ってる所は
反論してぇが、
今はそれどころじゃねぇ。どうやって学校まで行くかだ、朝のホームルームが始まるまでに。
ちなみに、自慢じゃねぇが、俺は高校入学してからの今までの1年と4カ月もの間、一度も遅刻どころか
欠席すらしていない
優等生なのである。
え?見た目そうは思わないって?まぁ、認めたくないが、俺だってそう思う。じゃあなんでそんなに
真面目気取るのかって?
それは、1ヶ月遅刻早退欠席がなければ次の月は食堂が5%オフで利用できるからだァァァ!!
たかが5パーだがそれでも大助かりだ!なぜなら、俺んちの家計は火の車だからだ!!
「私は、電気の車。」
「だから勝手に人の心読むな!今度読んだらプライバシー侵害で、絶対に訴えてやる!!」

はぁあ、さらば、俺の5パー引きライフ……。
「諦めたら、そこで試合終了。」
「なぁ、改めて確認したいんだが、お前、本当に電車か?織り交ぜてくるネタがアニメ的なもの
ばっかなんだが。」
「電車内ではいろんな情報が集まるから。そんなことより、諦めるの?諦めないの?」
「んなこと言ったってよぉ、どうするっつうんだよ、間に合うにはもうピンクのドア開けるか加速世界
使うぐらいしかねぇぞ。」
「や・り・な・お・し。」
「は?なに“お・も・て・な・し”みたいにいってんだ?」
「私たちが家に居た時からやり直す。」
「まさかタイムトラベルするっつうのか!?」
「少し違うけど、それに近い。例えるならゲーム。
家で一度セーブをしたとすると、他の場所でセーブを上書きしなければ、最初にセーブした家から
もう一度スタートすることができるの。
セーブ場所からやり直した場合、あなた自身に対しての影響は残るけど、あなた以外の人や物には
行動したという事実は残らない。
例えば、あなたが30分ジョギングしたとする。その後ジョギングする前に戻ると、あなた自身が
ジョギングしたという事実は残るので、30分分のあなたのカロリーは消費されているし、疲れも残る。
けれど、例えばそのジョギング中にあなたが泥道に足跡とつけたとすると、その足跡は事実としては
残らない。ちなみに、足跡をつけた靴についた泥も残らない。」
「へー、じゃあその30分は俺お得じゃん」
「そうとも言えないわ。
あなた以外はその30分は無かったことになっているけど、あなたはその30分を過ごしているのよ。
言わば30分周りよりもあなたは歳を取っているということになる。
やりすぎると、同級生が20歳の時にあなたは100歳のおじいちゃんになっている、ということも
ありうるのよ。」
「浦島太郎みたいになっちまうってことか。
つーか、たかが学校に遅刻程度でちと壮大すぎねぇか?
そもそも、本当にできるのかすらはなはだ疑問だしよぉ。
たかが電車人間のくせに。」
「電車人間という時点で信じられない。」
「自分で言っちゃうのかよ!!」
「私が言いたいのは、もうすでに非現実的なことが起きているんだから、もっとイレギュラーな事態に
対して寛容になれということよ。」
「寛容になれって言われたって、先週までただの高校生だったんだけど。
そんなやつがいきなり“過去に戻れる”“じゃあお願いします”なんてなるわけねぇだろうが。
だいたい、んなチートめいたこと使ってまで5パー引きをもらったって嬉しくねーよ。」
「じゃあ、このままで行くって言うことでいいのね。」
「おぅよ。」

さてSF的な出来事がとりあえず起こる可能性が無くなった今、俺は現実的に学校を目指そうと
しようじゃないか。

「さてと、始業まであと15分かぁ。」
「間に合うの?」
「今までだとここから電車に乗って、駅から徒歩で学校まで行った場合、30分くらいかかっていた。
普通に考えると、どんな手段を使っても間に合いそうもないが、一つだけ手がある。
それはタクシーだ。ここは鉄道もバスが通る大通りも大きくカーブした遠回りルートになってるから
間に合う保証はねぇが、タクシーで真ん中を突っ切れば、可能性はある。」
「でも、そんなの使ったら、食堂5%割引を失うより大きな痛手になるはず。」
「確かに、金だけ見れば、タクシーを使った方が不利になっちまう。だが、俺は高校生だ。遅刻せずに
学校へ行くのが俺の生徒として当然のことだ。」

そして、俺はタクシーを拾い学校へ向かった。乗り込む際、常盤には家に帰るよう言ったため、
一人で向かった。
間に合うか不安だったが、信号に1度も引っ掛からなかったため、奇跡的に始業5分前に学校近くまで
到達した。
校門前まで乗りつけるのはさすがにアレだから、途中の路地裏で降り、学校へ向かった。

タクシーを降り少し歩き、大勢の人が利用する通学路まで行くと、同じクラスの大川大河らがいて、
俺は軽く話しながら学校まで一緒に行った。
クラスの中に入ると同時にチャイムが鳴り、それと同時に俺のいるクラス、2年A組の担任教師である
白岡深雪先生が入ってきた。
「じゃあ学級委員さん!号令お願いしますなのです!」
このクラスの学級委員とは誰なのか。俺である。誰が何と言おうと俺である。
じゃあなぜ俺なのか、それは生徒会にいるため、半ば自動的にそう決まったからである。
さらになぜ俺が生徒会なんぞに入っているのか。半ば強制的にそう決まったからである。
結局、俺は周りに振り回されながら生きているようだ。
と考えながら俺は号令をかけた。
「起立、礼、おはようございます。」
「おはようございますです。」
この先生、毎朝見るたびに思うが小さい。かなり小さい。教壇に踏み台を置いてないと頭のてっぺんが
出るかでないかぐらい小さい。
しかし、小さいということをこの先生に対して言ってしまうと……。
「虎鉄くんさん!声が小さいのです!次からはもっと大きな声でいきましょうなのです!」
「小さいって、先生に言われたくないんだけどぉ。」
俺ががそう発言すると、深雪先生の表情が一変した。
「……あぁ?虎鉄、今なんつった?」
「あ、いや、べ、別に先生が小さいとかなにも言っては、って、しまった!さらに深く掘ってしまった!!」
「んだこらぁぁぁーーーー!!」
失言に失言の上乗せをした俺に怒り狂った先生は、教壇を俺に向かい投げつけ、直撃した俺は意識を
失った。

次に俺が目覚めた時、すでに放課後だった。つーか教室にそのまま放置かよ。
それに、どんだけ早く放課後に持っていきたいんだ、この作者は。ティータイムでもさせる気か。
ギターなんかふ○っしーみたいに叩くぐらいしかできねぇぞ。
そんなことを考えながら教室を出ていき、さらに校門を出ようとした時、2人組の女子生徒に
引きとめられた。
この学校の生徒会長と副会長兼書記兼会計の成東姉妹である。
「誰が成東姉妹よ、私は生徒会長の成東亜美よ。まとめないでくれるかしら、今度まとめたら承知
しないわよ、虎鉄道馬くん。」
「誰が成東姉妹ですか、私は副会長兼書記兼会計の成東由美です。まとめないでください、
今度まとめたら承知しないですよ、虎鉄さん。」
「あぁはいはい、丁寧に挨拶ありがとうございますぅ、じゃ、俺は関係ないんで。」
「関係ないですって?そんな口を叩くなんて、その口塞いじゃおうかしら。」
「ホチキスですね!」
「いやでもほぼ関係ないだろ!!俺の生徒会内でのポジション的に!」
「あら?なぜかしら?」
「なんでって、じゃあ聞かせてもらうが、運計係ってなんだよ!なにをすりゃいいんだよ!」
「あら、いいじゃない、運計係。会計係と対の存在で素敵よ。」
「生徒会に素敵さなんて求められちゃいねぇんだよ!!だいたい運計と会計の運計係って、
ネタにしかならねぇじゃねぇか!!
もし面接とかで“生徒会で運計係やってました”なんて言ったら面接官全員が全員頭にハテナ
浮かべるぞ!!」
「あら、いいじゃない、もし自己PRで時間稼げない時、運計係の説明で時間稼ぎできるわよ。」
「俺は一体何をPRしに行ってんだ!」

「で、一体なんの用だ?定例会議は水曜日のはずだぞ。用が無いんならさっさと帰りたいんだが。」
「用があるから引きとめたんじゃない。」
「そうです、用があるから引きとめたんですよ。だから、私たちと生徒会室に来てください。」
何の用だかわからないまま、俺は生徒会室に連行された。生徒会室に入った俺を二人は椅子に
座らせた。
「さて、あなたに試してもらいたいものがあるの。いいかしら?いいわよね?」
「念のため聞いておくが、万が一にも拒否した場合、俺はどうなるんだか聞かせてもらおう。」
「あら、そんなの決まっているじゃない。
あなたの体に穴開けパンチで穴をあけて、その穴にはんだごてを通して脂肪燃焼させるだけよ。」
「怖ぇよ!!つーか脂肪燃焼じゃすまだろうが!!
試すよ、試させてもらいますよ!!」
「ふふ、それでこそ、虎鉄道馬ね。ご褒美として、穴開けパンチとはんだごてを贈呈しちゃうわよ。」
「マジでやるつもりだったんかよ!!」

「試してほしいものは、これよ、虎鉄道馬くん。」
そう言って俺の前のテーブルに置いたのは、青々しくつぶつぶした物体とどろどろした液体が盛られた
皿だった。
「え、ちょ、なにこれ……。」
「なにって、」
「どうみてもカレーじゃないですか!」
「いや、どうみてもカレーじゃない。俺の知ってるカレーはもっと黄色だし、白米も文字通り白だし。」
「はぁあ、常識という枠に囚われた人間にだけはなりたくはないわね。」
「はい!そうですね!」
「枠から外れすぎなんじゃボケ!!なんでこんなに青いんだよ!!」
「海はなぜ青いのかしら。」
「だれがそんな哲学的な話をしろと言ったよ!!
俺はただ単にどうしてこんなモンスター生み出したのか聞いてるだけなんだよ!!」
「今度、私の父親が経営する会社で、新たな事業として外食部門に手を伸ばそうとしているんだけれ
ども、その店の料理の監修を私がやることになったのよ、私ってほら、優秀だから。
だから、その店に出すための料理を考案していたのよ。常識にとらわれない、私色に染まった料理を。」
「染まりすぎだろ!!
だいたいなんでこれを俺が食べないといけねぇんだよ!!」
「生徒会メンバーなんだから、生徒会長の指示に従うのは当然のことじゃないのかしらねぇ、
虎鉄道馬くん。」
「職権乱用!!」

30分後、やっとの思いでブルーカレーを完食した俺は、二人が皿洗いをしている最中にそっと抜け出し
急いで学校を後にした。
鉄道アレルギーを有している俺は電車に乗れないため、徒歩で家路につき、ひたすら歩くこと数時間。
家に着いた時、まだ夏至からそれほど日が経っていないが、空を見上げると星が輝く夜空になっていた。
家の中に入ると真っ暗で、どうやら常盤は家を出たっきり帰ってきていないようだ。
そのまま家の奥へと進み、リビングの明りをつけると、床には常盤が倒れていた。
持っていた荷物を落とし、慌てて駆け寄り常盤の体を揺さぶりながら呼びかけるが、俺の声に常盤が
答えることは無かった。

第9話へ続く

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